「ただいま、お父さん、お母さん!」
「おぉ、満奈!おかえり」
「あら、隼斗くんじゃない♪」
「こんにちは」

リビングに入る。

すると、真ん中に置いてあるソファに、桜井社長・春風さんと双葉さんがいた。

「隼斗くん、いらっしゃい」

春風さんが、俺に向かって微笑んだ。

双葉さんは仁菜ちゃんと2人でキャーキャー騒いでる。

「こんにちは。満奈さんとお付き合いさせてもらっている流川隼斗です」

そうだ・・・。

今日は“如月千歳の息子”ではない。

“桜井満奈の彼氏”として来てるんだ。

挨拶はしっかりしないとな。

「はっはっは。そんなにかしこまらなくてもいいよ」

普段はスーツを着てビシッとしてる春風さん。

でも・・・家での春風さんは灰色のスウェット。

まだ17時だというのに、芋焼酎を飲んでいるのがなんか似合って見えた。

「お父さん!晩酌早くない?」
「いいんだよ。どうせこれから晩飯だ」

桜井社長の新しい1面が見れた。

「そうね。みんな揃った事だし、夕飯にしましょ♪」

そう言った双葉さんは、満奈と仁菜ちゃんを連れてどこかへ消えた。

つまり俺は、春風さんと2人きり。

ヤっべぇ・・・。

満奈とヤる時よりも緊張するんですけどっ!

「隼斗くん」
「はっ・・・はい!」

いきなり、名前を呼ばれた。

びっくりした・・・。

「ここに座りなさい」

ポンポンと叩かれた場所は、春風さんの隣。

俺は指示通りにそこに座った。

「満奈とは・・・上手くいってるか?」

来たっ・・・!

ここはちゃんと言わねぇと・・・。

「はい。時々ケンカもしますけど・・・」
「そうかそうか」

俺がそう言うと、春風さんは愉快そうに笑った。