「・・・わぁっ!凄ーい・・・」

感動した。

視界が開けた瞬間に、あたしの目に飛び込んで来たモノは。

赤と緑のイルミネーション。

黄色の街頭。

辺り1面に散らばって、キラキラ輝いている。

そんな風景がよく見えるここは、どこか高いところの屋上だった。

「綺麗だな」
「うん・・・綺麗」

見入っているうちに、あたしはあの雑誌を思い出した。

これって・・・千咲と菜々子と一緒に見たのと・・・同じ?

「ねぇ、ここってどこ?ホテル?」

あたしは聞いてみた。

すると、隼斗はにっこり笑って。

「ホテルきさらぎ。母さんのホテルだ」

それを聞いて納得した。

やっぱり・・・!

あの雑誌についてたところだ!

「・・・っくしゅん」
「寒いか?・・・これ貸してやる」

―――――フワッ

あたしがくしゃみをしたら、隼斗は自分が着てたダウンを貸してくれた。

さらに。

―――――グイッ

腕を引き寄せられ、抱き締められた。

「へへっ・・・温かいね」
「あぁ」

隼斗は柔らかく笑った。

いつもは見せない笑顔に、ドキドキしてしまう。

・・・それにしても。

あたしの行きたいところ、何でわかったんだろう?

それとも、ただの偶然かな?

気になったけど、聞きたかったけど。

あえて聞かなかった。

「隼斗・・・」
「ん?」
「ありがと」

これがあたしの、素直な感謝の気持ち。

そう言うと、隼斗はにっこり笑って。

・・・最高なキスを、プレゼントしてくれた。