あたしはそわそわしながら夜を待つ。
どこに行くのかな?
そして夕方。
「行くぞ」
そう言った隼斗は、パーカーにジーンズ、帽子と言うラフな格好。
あたしも一応、軽くおしゃれした。
寮を出て、校門に向かった。
「あっ、いた」
そこには、1台の車が止まっていた。
べっ・・・、ベンツだぁ!
黒くてピカピカに光っている生ベンツに、あたしは興奮してしまった。
「隼斗様、満奈様。お待ちしておりました」
「ありがとう、桃原さん」
桃原さんと呼ばれた方は、黒の燕尾服を着てる。
ずっとニコニコしてるから、好印象を持てた。
「これ、隼斗ん家の?」
「あぁ」
すごーい・・・。
運転手さんもいるなんて!
桃原さんにドアを開けてもらい、ベンツの後部座席に乗った。
「じゃ、お願いします」
隼斗のその一言で、車が発進した。
まだ17時だというのに、辺りは暗い。
どこに行くんだろう・・・?
あたしはわくわくしながら、窓の外を眺めてた。
そんな時。
―――――ギュッ
不意に、隼斗があたしの手を握った。
びっくりして、隼斗の顔を見てみる。
けれど、彼も窓の外を眺めてた。
・・・なんかこういうの、いいね。
付き合いたてのカップルみたい。
あたしもその手を握り返した。

