「なぁ、満奈」
「何ぃ?」
「飯食わせろ」

気がつけば夕飯の時間。

隼斗は何とも子供な命令をしてきた。

「何で?」
「これよ、これ」

そう言って隼斗は、自分の右手を左手で指差した。

・・・そうか。

あの時に手を切られたんだっけ。

「左で食べればいいじゃんか」
「へぇ~。俺にそんな口きいていいと思ってんのか?」
「ゴメンナサイ。ゼヒ、ヤラセテクダサイ」
「んだよ、その片言」

はっ!

思わず棒読みになってしまった・・・。

ってか久々に隼斗が俺様モードだぁ。

「オムライスをあ~んしてもらえるとか最高なんだけど」

なんかぶつぶつ言ってる隼斗を無視して、オムライスを一口分スプーンにのせた。

「はい、あ~ん・・・」

超恥ずかしいんだけど!

「満奈、顔真っ赤」

そんなあたしを見て隼斗はケラケラ笑ってるし!

ムカつく!

「ん、美味い」
「よかった」

でも、“美味い”って言ってくれたから許す。

・・・あたしって単純だな。

隼斗に対してだけだけどね。

「あぁ~、今日からしばらくヤる時は満奈が上かぁ」

・・・。

前言撤回っ!

「やっぱり許さないからっ!」
「はぁっ!?」
「そんな恥ずかしい事堂々と言わないでよ!」
「2人きりでもか?」

2人きりだからこそ余計恥ずかしいんだよっ!

その日のあたしは。

「満奈~、愛してる☆」

可愛い隼斗にも。

「満奈・・・愛してるよ」

カッコいい隼斗にも。

「おい、風呂入るぞ」

俺様隼斗にも。

絶対に振り向かなかった。