―――――ガヤガヤ

俺ん家の中に、警官が入って来た。

「椎名柚香。殺人未遂の容疑で逮捕する」

―――――ガチャンッ

どうやら母さんが説明しておいたらしい。

警察は柚香を見つけるなり、すぐに手錠をかけた。

だけど、柚香は。

「隼斗・・・絶対に取り返すんだからっ・・・!」

弱々しい口調で、まだそんな事を言っていた。

「椎名容疑者、かなりダメージを喰らってるようですが・・・何かあったんですか?」
「いえ、何にも」

アイツが連行された後、若い警官にそう聞かれた。

満奈が回し蹴りなんて・・・ファンからしてみたらちょっと悲しい気がする。

だから、あえて黙っておいた。



しばらくの間事情聴取を受け、やっと解放されたのはそれから2時間が経った頃だった。

現在1時。

夜中です。

リビングに家族5人&満奈が集合した。

「終わったわね・・・」

母さんがぽつりと呟いた。

「あの、ホントにすみませんでした」

満奈が深く頭を下げた。

「いいんだよ。満奈ちゃんは大事な娘だからね」
「えっ!?」

親父・・・気が早ぇな。

まぁ、いつかはそうなるしな。

「俺腹減った~」

兄貴が大きく背伸びをしながら言った。

「何か食べる?」
「うどん食いたい」
「あっ、俺も」

安心したら、やたら腹減った・・・。

「美鈴と満奈ちゃんは?」
「私は太るからいらない」
「あたしも大丈夫です」
「姉貴は太ったって変わんねぇから大丈夫だろ」
「何それ!?失礼ねっ!」

リビング中に、笑いが広がった。