「隼斗の事は信じてるよ。でもね・・・」
そこで満奈は、また大粒の涙を流し始めた。
「誰かに必要とされてるかどうか、不安で仕方ないの・・・」
こんなに弱気な満奈は、初めて見た。
“殺された方が良かったんじゃないのかなって・・・”
さっきの満奈の言葉が、頭の中でリピートされる。
「馬鹿野郎・・・」
俺は思わず、思っていた事を口にしてしまった。
「お前が悪いんじゃない」
「だって・・・」
「だってじゃねぇ!」
ついつい怒鳴ってしまった。
ビクッと肩を震わせた満奈。
「あっ、ごめん・・・」
満奈を怖がらせるつもりじゃなかったのに・・・。
イライラを抑えられない自分に反省した。
「・・・全部、俺のせいだ」
真っ直ぐに満奈を見つめた。
「俺が昔、あんな事をしてなかったらこんな大惨事にはならなかったんだ・・・」
過去に、物凄く後悔してる。
まさか、あの頃の自分の行動が。
今、自分が1番大事な人を傷つけてしまう事になるとは―――――。
思いもしなかったから。
「頼むから、殺された方が良かったなんて言うなよ・・・」
華奢な肩を引き寄せ、強く抱き締めた。
「隼斗・・・」
「俺がどんだけ満奈を必要としてるか分かってんのか?俺を信じてるんだろ?」
「うん・・・。ごめんなさい」
「いいからもう謝んな」
抱き締めたまま、満奈の涙を拭った。
「ねぇ、隼斗・・・」
「何?」
「隼斗の過去を・・・聞かせてくれる?」
―――――ドクンッ
心臓が一瞬だけ大きく高鳴った。
「過去は誰にでもあるモノ、なんて言ったけど・・・気になるんだ」
これを言ったら・・・満奈は離れて行かないか?
「・・・多分、俺を嫌いになる。それでもいいんなら・・・」
「あたしは隼斗を信じてる。隼斗だって同じでしょ?」
・・・さっきまで泣いてたくせに。
急に大人の顔になった満奈。
俺は覚悟を決めて話し出した。