「俺は本気で満奈ちゃんが好きだ」

“流川なんかより俺の方が演技も上手いし”

確かにそうかもしれない。

でも、演技の上手下手の感じ方なんて人それぞれだよ。

“顔もいい”

あたしは別に、隼斗の顔に惚れたわけじゃない。

・・・まぁ、春輝くんより隼斗の方が断然カッコいいけど。

“俺を好きになってよ”

無理。

あたしはもう、隼斗以外誰も好きにならない。

「ごめんなさい」

深くお辞儀をした。

「あたしなんかを好きになってくれたのは嬉しいです。でも・・・」

あたしの隣を歩いてほしいのは、いつまでも・・・。

隼斗だけ。

「あたしも本気で隼斗が好きだから・・・。ホントにごめんなさい」

正直な思いを、真っ直ぐにぶつけた。

嘘偽りなんかない。

心の底からの、素直な気持ち。

どうか、届いて――――――。

そう願った時だった。

「・・・フッ。負けたな」

春輝くんがそう言った。

「ホントに流川と愛しあってるんだな。羨ましい」

ニコッと笑った彼。

その表情には少しだけ、寂しさが見えた。

「分かった、諦めるよ」
「ホント・・・?」
「でも、流川が浮気とかしたら俺がすぐに満奈ちゃんを奪ってやるからな」

それだけを言って、春輝くんはあたしの控室から出て行った。

―――――バタン

ドアのしまる音が聞こえたと共に、あたしは大きなため息をついた。

とりあえず・・・春輝くん問題は解決かな?

あとは、柚香ちゃんだけか・・・。

“殺す”

あの低い声は、今でも鮮明に思い出せる。

あたしはどうなっちゃうんだろう?