(side満奈)

「満奈ちゃん、あれどういう事?」

あたしと隼斗の熱愛が公になった次の日。

あたしはスタジオにいた。

それは、映画の撮影があったから。

そしたら・・・。

いきなり、春輝くんがあたしの控室に入って来た。

そして一言目が“満奈ちゃん、あれどういう事?”。

って言われてもなぁ・・・。

別に親しいわけでもないし。

「ホントの事だよ」

そう伝えると、あたしの腕をガシッと掴んだ春輝くん。

また何かされるっ・・・!

「嫌っ!」

―――――パシッ

乾いた音が部屋中に響いた。

あたしが春輝くんの腕を払ったから。

「・・・っきしょう」

―――――グイッ

「きゃっ!」
「何で流川なんだよ・・・」

ちょっちょっちょっ、ちょっと待って!

何なのこの態勢は!

あたし、何で春輝くんに押し倒されてるの!?

「やめて春輝くんっ!」
「うるせぇ。黙れ」

今までのチャラチャラした雰囲気とは違う。

春輝くんの気迫に、負けてしまいそうになった。

―――――チュッ

「嫌ぁっ!」

あたしの首筋に吸いつく春輝くん。

耐えきれなくなってつい、自由に動く右手で。

―――――パシンッ!

春輝くんの左頬を叩いてしまった。

「何で・・・何でだよ」

あたしは起き上がった。

息が荒い。

深く、息を吸い込んだ。

「流川なんかより俺の方が演技も上手いし、顔もいい。満奈ちゃん、俺を好きになってよ」

演技をしている時と同じくらい、真剣な瞳だった。