ニヤリと妖しく笑う春輝くん。
逃げたいけど、怖くて逃げれない・・・。
そして、ついに。
「何で逃げるの?」
あたしは春輝くんと壁に挟まれてしまった。
「何でって言われても・・・」
あたし、貴方の彼女でもなんでもないんですけどっ!
それよりも早く脱出しなきゃ!
でも、逃げようとしたその瞬間。
「っと。逃がさねぇよ?」
手首を捕まれた・・・。
何なのよ、もうっ!
「離してください・・・」
「嫌だ。俺の話聞いてくれたらいいよ」
「話?」
あたしに言わなきゃいけない事なの?
急いでるのに・・・。
早くしてよ。
「うん。聞いてくれる?」
「はい・・・」
春輝くんから、香水の匂いがする。
凄く嫌いな匂い・・・。
頭が痛くなってくる。
「俺さ」
真剣な瞳で、あたしを見つめた。
「満奈ちゃんが好きなんだ」
その言葉を聞いた瞬間、本気で逃げたかった・・・。
嫌・・・。
やめて。
あたしにそれを言っていいのは、隼斗だけなの。
「俺と付き合ってください」
「無理です・・・」
「何で?」
あたしには、隼斗がいるから。
愛したいのも、愛されたいのも隼斗だけだから。
とは、言えなくて・・・。
ただ頑なに、
「無理です」
そう言い続けた。

