ざわつく記者達。

嘘の事実に、惑わされてる・・・。

―――――♪~♪~

不意に、ケータイが鳴った。

「もしもし?」

相手はマネージャーだった。

『社長が呼んでます。今すぐ迎えに行くのでファンに見つからないように待機していてください』
「分かった」

深刻な雰囲気。

画面の向こう側にいる柚香は笑顔。

笑ってるのはコイツだけだ・・・。

何でこうなった?

柚香の目的は何だ?

自分の名前を売りたいから?

ホントに芸能界って、ドロドロしてる・・・。

汚い世界だと、つくづく思う。

これでまた、俺の人気が下がるのか?

こんな嘘偽りで・・・。

だとしたら・・・たまったもんじゃねぇ。



『今着きました』
「すぐ行く」

テレビを消して立ち上がる。

帽子を深くかぶり、サングラスをかけた。

今日は平日。

みんな学校や仕事に行っているとはいえ、用心しないとな。

ニュースの事もあるし・・・。

校門前に行くと、大きなワゴン車を見つけた。

それにすぐ乗り込む。

「事務所か?」
「はい。行きますよ」

すぐさま発進する車。

マネージャーは無言だった。

俺も無言だった。

どうすればいいんだ・・・?

俺が“違う”って言えばいいんだろうけど・・・。

そんなの、柚香が断固否定するんだろうな・・・。

どうすればいいんだろう?