(side隼斗)

12時。

テレビで、柚香の記者会見の様子が生放送される予定。

アイツは何を言うんだ・・・?

そう思いながらテレビの前で待機していると。

『えー、ただいまより、記者会見を行います』

始まった・・・!

煌びやかな会場の一番奥に、柚香がいる。

笑って、いる・・・?

俺はごくりと唾を飲み、画面に集中する。

『ではまず、Yukaさんからお願いいたします』

司会者がそう言い、柚香が席を立つ。

『今日はお集まりいただきありがとうございます。早速ですが・・・』

この後に聞く言葉が・・・。

信じられなくて、思わず気を失いそうになった。



『SuperStarの流川隼斗さんと交際している事は、事実です』



はぁっ!?

俺知らねぇし。

俺が付き合っているのは、満奈だ。

テレビの中にいる柚香にそう言っても。

アイツはただ、にこやかに笑ってるだけ。

やっぱり・・・自分を売るためか。

『いつからお付き合いしてるんですか?』
『同棲は?』

記者達の質問が飛び交う。

それに柚香は、ひとつひとつ丁寧に・・・。

嘘の発言をしていった。

『小さい頃からです。彼は学校の寮住まいなので、同棲はしておりません。ただ・・・』

恥ずかしそうに顔を赤らめながら柚香は、

『小さい頃に、彼にプロポーズされたんです。“柚香は俺のお嫁さん!”と』

だーかーらー・・・。

俺、そんな事言った記憶ないし。

それに・・・所詮昔の話だろ?

いつまで引きずってんだよ・・・。