あたしが夢見てた芸能界は。

明るくて。

眩しくて。

キラキラして。

わくわくして。

ドキドキして。

笑顔が溢れてる、そんな場所だった。

・・・でも。

そんなのもホントに“夢”だった。

実際はそう甘くないんだ。

ドロドロしてて。

汚くて。

醜くて。

“キラキラ”なんて、欠片ほどしかないんだ。

「とりあえず、柚香の会見の内容次第で今後の動きを決める。今日はそれまで自宅待機だ」

そう言った隼斗は、テレビを消した。

静まり返るリビング。

「はぁー・・・。何でこうなった?」

大きなため息をついた隼斗。

「隼斗と付き合ってるのは・・・あたしだよね?」

消えない不安。

思わず、そんな事を言ってしまった。

だって・・・怖い。

また、あの時みたいに。

離れ離れに、なってしまったら・・・。

「そうだよ。だから・・・心配すんな」

隼斗は優しい声で言って、背中を擦ってくれた。

「俺が絶対何とかするから」

そう言ってくれた隼斗に、もっと強く抱きついた。

強いんだね。

「だから満奈は・・・映画の事だけに集中しろ」
「・・・分かった」

今度は頭を優しく撫でられる。

「今日も撮影だろ?」
「うん・・・」
「行っといで」

・・・ありがとう、隼斗。

貴方の言葉で、不安が吹き飛んだよ。

だからあたしも・・・。

頑張ってくる。

「行ってきます」

笑顔で部屋を飛び出した。