「よーい・・・」

―――――パンッ!

「頑張れ~!」
「きゃあーっ!」

ピストルの合図と共に、たくさんの声援がグラウンド中に響き渡る。

今は綱引きやってます!

「赤組~っ!ファイト!」

赤組対青組で、現在赤組が勝ってます!

色はクラスで決めるんだ。

A組は赤、B組は青、C組が白、D組が緑、そしてE組が黄。

あたしはA組だから赤組です!

「満奈ちゃんの体育着姿・・・」
「新鮮だ・・・」

ふと後ろを向くと、たくさんのファンの方々があたしを見ていた。

うーん。

あたしなんか見てもいい事ないと思うけどなぁ。

隣の千咲と菜々子の方が、よっぽど目の保養になるでしょ!?

「満奈!次、リレーだよ!」
「ホント?よぉーし、頑張ろ!」
「「オー!!」」

次は2年クラス対抗リレー。

リレーはマジ大好きだから・・・。

マジ燃えるんですけどっ!

そんな時。

「満奈さん、張り切ってますね」

横から、敬語だけど悪魔の囁きが聞こえた。

悪魔の囁きの正体は・・・。

「そうかな?隼斗くんは走るの好き?」
「ええ。ファンの子が見てるので気合十分です」

流川隼斗。

隼斗はそう言った後、ファン専用観客席に向かって手を振った。

「「「「「きゃあーっ!隼斗く~ん!」」」」」

あらあら。

大人気だねぇ~。

・・・王子様隼斗は。

「大人気だね」
「満奈さんほどではないです」

あたしがそう言うと、ムカッとくる言葉を返された・・・。

どうせあたしなんか人気ないですよーだっ!

どこかに走り去ろうとした、その瞬間。



「満奈が見てるから、気合十分」



・・・馬鹿隼斗。

そんな事言われたらあたし、舞い上がっちゃうからね?