(side満奈)

3月に入って、数日が立った。

今日は特別な日。

そう・・・、卒業式。

「送辞。在校生代表、2年B組、早瀬華歩」
「はい」

華歩の名が呼ばれ、彼女はステージに上がる。

淡々と読み上げる華歩。

聞いてるうちに、たくさんの思い出を思い出す。

今日でちぃちゃんとキッズは、如月高校からいなくなっちゃうんだ・・・。

そう思うと、涙が込み上げてくる。

まぁ、Rainbowとしてはずっと一緒だしこれからも会えるけどね。

そっか・・・。

卒業したら、帰る場所も別々になっちゃうんだ。

麻衣ちゃんが大変になるなぁ。

「答辞。卒業生代表、3年C組、和泉准」
「はい」

答辞は、入学式の歓迎の言葉をやった人がやるんだって。

入学式で准くんを見て喜んでたあの日から1年。

ファンとして超嬉しかったね・・・。

月日が流れるのはあっという間。

デビューしてからは、それをもっと強く感じるようになった。

気がつけばあたしもこの学校を卒業してるんだろうな。

「卒業生、退場」

しみじみとしてるうちに、卒業生が次々と在校生の前を通り過ぎていく。

その中には、たくさんの芸能人の姿。

あっ、准くんに愛地くん・・・。

愛地くんには、ドラマでお世話になったな・・・。

そして、キッズが通った。

―――――パチッ

不意に目が合う。

そしたらキッズはニコッと笑った。

だからあたしも笑った。

キッズ・・・、ありがとう。

しばらくして、ちぃちゃんが来た。

キッズと同じように、ニコッと笑い合った。

ちぃちゃん・・・、ありがとう。

涙が零れた。

“おめでとう”の気持ちもあったけど、“寂しい”の方が大きかった。