家に帰って来て、満奈は晩飯の準備を始めた。

その間、俺はテレビを見る。

特番らしいその番組。

“バレンタイン、チョコいくつもらった?”という内容だった。

・・・俺、満奈からもらってねぇっ!

いや、俺は甘いモノ苦手なんだけど・・・。

満奈からもらうのは全然食える。

なのに・・・なのに!

まだもらってません。

チラッと満奈を見るも、当の本人は料理に夢中。

次第にいい匂いがリビングに広がる。

・・・まぁいいか。

そんな行事に頼らなくても、俺と満奈は相思相愛だし?

今日は満奈ちゃんを食べる予定だし?

毎日頂いてますけどね。

「出来たよ~。オムライス!」
「来たーっ!いただきます」

テーブルに料理が並べられる。

満奈のオムライスマジで美味いんだよな。

「美味い」
「ほっ、ホント?よかったぁ・・・」

満奈は何だか、もじもじしてる。

何だ?

「どした?」
「あ・・・のね?これ・・・」

おずおずと差し出されたのは、綺麗なラッピングが施された箱。

「昨日バレンタインだったでしょ?でも仕事で渡せなかったし・・・。1日遅れでごめんね?」
「いいよ、別に。満奈がくれるんなら日付なんか関係ない。ありがとな」

箱を受け取り、蓋を開けた。

入っていたのは、ハートの形をしたクッキーだった。

何故クッキー?

・・・と思ったけど。

誕生日を思い出した。

満奈からもらったのは星の形のクッキー。

あの時はまだ、俺の片想いだったんだな・・・。

ハートをもらったら期待する・・・なんて思ってたような気がする。

でも今は違うんだな。

「ホントはチョコにしたかったんだけど・・・。失敗しまくっちゃって・・・」
「俺としてはクッキーの方が嬉しいんですけど?」

そう言って満奈に軽いキスをした。

この形はきっと、俺らの愛の成長の証。

「・・・美味い」

それは、オムライスより何倍も美味かった。

「あっ、満奈もちゃんと食べるから」
「あたしは食べ物じゃな~い!」

今日は最高の日だ。