「3、2、・・・はい!」

カチッって音が合図。

あたしが美織を演じる、ラストシーンのスタート。

『舜・・・』
『美織、ごめん。俺が間違ってた』

美織が幼なじみと歩いていたところを偶然見てしまった舜が誤解して別れを告げるが、誤解に気付き謝る・・・、と言うシーン。

『滝本は悪くないのに・・・、俺はまだまだ子供だな』

髪を掻きながら台詞を言う隼斗はカッコいい。

やっぱ演技上手いよねぇ~。

『ううん。私も悪いの。誤解されるようなことしたから。・・・でもね、舜』
『・・・何?』

・・・こんな言葉が言える美織は、最高にカッコいいと思う。



『私が舜を想う気持ちは本物だから。それは誤解しないで』



きっと、舜を信じてるから言える言葉。

いつかあたしも隼斗に伝えたいなぁ・・・。

『美織・・・!』

隼斗・・・じゃなくて舜が美織を抱き締めた。

『俺も美織を想う気持ちは本物だ。だから・・・、また付き合って』
『・・・はいっ!』

そして・・・、ゆっくり目を閉じた。

優しいキス。

隼斗じゃなくて、舜のキス。

「・・・カット!」

監督さんの声が、現場中に響いた。