前田…

なんでそんな事になってんの…?



和則の言葉が頭の中で

ぐるぐる回る。


家庭内暴力…

助けてあげて…


なんで?

お前が幸せそうだったから。

あまりに幸せそうだったから

俺は諦めようとしたんだよ。

なのに…

家庭内暴力って…


旦那がか?

前田を傷つけてんの…?

俺がずっと好きだった…

欲しくて堪らなかった前田を?

お前、幸せじゃねぇの…?


頭で話しを整理する。


「諦めきれてないんだろ?
6年…いや、8年か。

ずっと好きだった女だろ?

助けてやれよ。
奪ってこいよ。

幸せにしてやってくれよ…」


「俺がもっと早く知ってたら…

なぁ。高橋に頼んでくんね?
前田に会わせてもらえねぇかな?

今もあいつ苦しんでんだよ…」


俺は焦った。

早く……早く!!



「そうだよな。
ずっと好きだったんだもんな。

高橋には今日伝える。

…でもさ?
会ったところで何て言うんだ?

だって前田は幸成の事
友達としか思ってないだろ?
ましてや2年も会ってないし。

いきなり助けにきました。
って言うの?」