6時までに慎吾のお弁当を作る。

6時30分には慎吾が起きてくるから、それまでにスーツやシャツ、靴下を用意しておく。

サラダとトーストとコーヒーを、いつでも食べれるようにしとくの。

毎朝一緒。

これじゃなきゃ嫌なんだって。


あれこれしていると、慎吾が起きてきた。

「おはよ。」

「うん。おはよう。」



…よかった。今日は機嫌がいいみたい。

明るく振る舞う。

いつもどうり。

おかしなとこなど、なにもない。


…なにもないはずなんだけどな。

お腹に激痛が走る。

「なんだよこれ。
俺今日は米が食いたかったんだけど。」


あー。まただ。

殴られた。

だいぶ慣れたけど。

米は予想外だったな。

「ごめんなさい。
いつもトースト食べたいって言ってたから…

今日はご飯炊いてないの。
本当にごめんなさい…
明日は…」

痛い。

本当に痛い。

「今食べたいのに明日炊いてどーすんだよ。
気が気かねー女だな。
いつまでたっても。」



「…いってらっしゃい。」


呆れながら、着替えて出て行った。

こんなの毎日の事。

慣れた。痛いけど。

でも私がご飯を炊いてないのが悪かった。

殴る事ないと思うけど。

でも優志がいれば大丈夫。


こんなのいつか、終わるから。


「おはよう。ママ。」

「おはよう、優志。」

抱きついてくる優志に、強く抱きしめ返す。


大丈夫。きっと大丈夫。

こんなのいつか終わるから。