王子様に会うまで、わたしの心臓はバクバクと大きな音をたてていた。
あー、緊張する!

「アルテゥール殿下が来られます」

従者と思われる人が、大きな声で言った。私は頭を垂れる。
誰かが歩いてくる音がして、まだ幼さの残る声で「おもてをあげよ」と言われた。
顔をあげるとそこには、金髪碧眼の幼さをまだ残す可愛らしい王子様が座っていた。

「ノノ、私は其方をこの十二年間待っていたのだ。会えて嬉しい」
「十二年間、ですか?王子様、あなたは私がここにくる事をしていらしたんですか」

広い謁見の間に、わたしの声が響いた。