「知っていた」

王子は嬉しそうに言った。

「私は其方がこの世界に来るのを幼い頃から知っていた。私は其方に会うために日々を懸命に生きてきたと言ってもいいぐらいだ」
「私は、母に森に捨てられました。教養もなく気だても良くないから、売りに出しても金にならない。ならば穀潰しの娘なんぞ捨ててやる、と」

わたしは真っ直ぐに王子を見つめた。
いらないものとして扱われた自分は、あなたにとって本当に必要なものかどうか。
一度不要とされたのなら、もう誰にとってもいらない物であってもおかしくないと。