サクサクって音がする。
雪の中に、ママがわたしをおいていった。
真夜中で、月のあかりだけがわたしを照らしてる。
雪に反射した白い光だけが、いまのわたしの頼りだ。

ゆっくりと、森を進んで行けば小さなドアがあった。
横にフクロウがとまっている。

「おじょうさん。何をしておるのかね。今日は満月。満月の夜に森に入ってはいけないと教わらなかったのかね」

フクロウ、喋った。
驚きながら、わたしも言葉を返す。

「ママに捨てられたの。もう、わたしはいらない子なんだって」

いつか、また帰れると思っていたら、フクロウがいたのだ。

「おじょうさん。名前はなんと言う?捨てられたのなら、この門を通る資格があるやもしれぬ」

フクロウの言っていることが、わからない。
門を通る資格?
なにそれ。

「わたしはノノ。ノノ・ブランテ。門を通る資格ってなぁに、フクロウさん」
「満月の夜だけ、森に門が現れる。そして、満月の夜に捨てられた少女は、向こうの世界へと行けるんだ」

よくわからなかった。
ただ、フクロウがその言葉をいったとき、わたしは光のなかへと吸い込まれていた。

「さあ、ゆくのだ。選ばれし少女、ノノ・ブランテよ」

最後に、フクロウの声が聞こえた気がした。