確かに今は秋と言えど晩夏に近い気温を残している。しかし上半身裸で入水していては、いくら新川でも体調を崩しかねない。
現在戦は予定されていないが、いつ攻められるかは分らない。何より、とばっちりが来るに違いない。
それが故、クラウディオは真剣だった。
「聞いてるのか!?」
再び怒鳴ると、ようやく新川が顔を上げる。
噴水には違い無いのだが、宮殿の中央にある噴水の中でも最も大きいものだ。膝上ほどの水位があり、池のような大きさがある。一人で探し出すのは無理だ。
だが、二人を見上げる新川は笑っていた。
思わぬ表情に言葉を無くすクラウディオを尻目に、新川は再びバシャリと手を水中に入れる。
「だって大切なモンなんだろ?」
その言葉に、今まで静観していた宝王子にも変化が起こる。バッと上着を脱ぎ捨ててシャツ姿になると、勢いよく飛びこんだ。
「ぶわっ!王子、よりにも寄ってこっちに落ちるか!?」
「はー、涼し。で、どんなヤツ?」
宝王子がニイッと笑って水中に手を浸し、水の中をかき回してみる。澄んでいて綺麗な水だが、金属物は見受けられない。
――そんなところに。
散々探し回っていたと思われる大山と林が、トウヤに案内されながらやってきた。
今騎士団を率いているのがミカエルではなく、そして内政に力を入れているため、現在トウヤは特にしなくてはならないような仕事はない。ラブラドールが常に付き添っているため、ミカエルの身辺警護の必要もないのだ。
そのため、彼は昨日から日本の客人の相手をしていた。
「クラウディオ、どうかしたのか?」
トウヤは噴水に飛び込んでいる宝王子と新川をヤレヤレと呆れた目で見て、珍しく騒ぎの中にいるクラウディオに何事か尋ねた。
「ブレスレットが落ちてしまってな…お前からも何とか言ってくれ」
止めても制止しても怒鳴ってもやめないのだ、とクラウディオは訴える。それに反応したのは、黙って経緯を聞いていた大山と林だ。
「それは無理ですよ、新川の意気地はよく知ってるし。ねぇ?」
「うん。だったら、早く見つけるしかないよね!!」
そう言った二人もまた、楽しそうに噴水の中へ飛び込んだ。唖然とするクラウディオの前で、キャイキャイと新川に近づく。
現在戦は予定されていないが、いつ攻められるかは分らない。何より、とばっちりが来るに違いない。
それが故、クラウディオは真剣だった。
「聞いてるのか!?」
再び怒鳴ると、ようやく新川が顔を上げる。
噴水には違い無いのだが、宮殿の中央にある噴水の中でも最も大きいものだ。膝上ほどの水位があり、池のような大きさがある。一人で探し出すのは無理だ。
だが、二人を見上げる新川は笑っていた。
思わぬ表情に言葉を無くすクラウディオを尻目に、新川は再びバシャリと手を水中に入れる。
「だって大切なモンなんだろ?」
その言葉に、今まで静観していた宝王子にも変化が起こる。バッと上着を脱ぎ捨ててシャツ姿になると、勢いよく飛びこんだ。
「ぶわっ!王子、よりにも寄ってこっちに落ちるか!?」
「はー、涼し。で、どんなヤツ?」
宝王子がニイッと笑って水中に手を浸し、水の中をかき回してみる。澄んでいて綺麗な水だが、金属物は見受けられない。
――そんなところに。
散々探し回っていたと思われる大山と林が、トウヤに案内されながらやってきた。
今騎士団を率いているのがミカエルではなく、そして内政に力を入れているため、現在トウヤは特にしなくてはならないような仕事はない。ラブラドールが常に付き添っているため、ミカエルの身辺警護の必要もないのだ。
そのため、彼は昨日から日本の客人の相手をしていた。
「クラウディオ、どうかしたのか?」
トウヤは噴水に飛び込んでいる宝王子と新川をヤレヤレと呆れた目で見て、珍しく騒ぎの中にいるクラウディオに何事か尋ねた。
「ブレスレットが落ちてしまってな…お前からも何とか言ってくれ」
止めても制止しても怒鳴ってもやめないのだ、とクラウディオは訴える。それに反応したのは、黙って経緯を聞いていた大山と林だ。
「それは無理ですよ、新川の意気地はよく知ってるし。ねぇ?」
「うん。だったら、早く見つけるしかないよね!!」
そう言った二人もまた、楽しそうに噴水の中へ飛び込んだ。唖然とするクラウディオの前で、キャイキャイと新川に近づく。
