赤土色が広がる中、馬が駆け抜ける。緑一つない荒野は砂を巻き上げ視界を覆う中、宝王子は鉄の筒を探す。一度磨かれた刃は鋭い輝きを取り戻していたが、再び血潮に濡れている。敵を横殴りにしつつ大軍に突っ込むと、「疾風」が通り抜けた道が一瞬できる。それはすぐにかき消されるが、宝王子はその中央に筒状のものを見た。
「中央を突破する!筒を壊せ!!」
喚声と共に中央へ馬を走らせる。筒の周囲は敵の衛兵が固め、中央に発明者らしき科学者が佇んでいる。その脇に、軽く人の背丈を越す筒。充電が完了する前に、破壊しなければ。
宝王子は馬から飛び降り、跳躍した。馬は横から柳が乗り移り、走らせている。宝王子は刀を構えた。
「紅玉!俺に力を貸してくれっ…!!」
刃が炎を帯びる。熱風が砂煙や血煙を払い、視界がぐっと広くなる。科学者は常識を逸したそれに、目を見開く。ありえない、とありあり顔に出ている。宝王子はその男ごと、筒を破壊した。
帝に報告すると、新川たちも片し終えたと言われた。大山の報告では、もう筒はない。これで障害は晴れた。
帝の厳命が戦場に高々と響く。
「金清日をはじめとする者を消せ」と。
