その子は
少し色白で、目は釣目、
髪は薄い綺麗な茶色、
耳の下で二つ結び。
小柄だけどスラッとしてて、
手には購買の数個限定の
激辛キムチパンと
教科書を持っていた。

「ア…タシですか?」

驚いた、
すごく、すごく。
「よろしく」って言葉
いつぶりだろう。

訳のわからないまま
自分の名前を言った。

「ア、タシは夏川 香乃子です!」

巴さんが笑いながら
差し延べてくれた手を
掴んだら、

アタシのモノクロの世界に
少しだけ、明るいポカポカ色の
黄色が足された。