「梨佳、今年もよろしくな」


「え?」


急に竜哉が真面目な声で言った


「今年は俺ら、受験生だろ?」


「...うん」


竜哉さん


それは言わないでほしかったかな


「だからさ、お互い困ったら助け合おうな」


「...もともとそうでしょ?」


「まあな?」


受話器越しに聞こえる、小さく笑う竜哉


「竜哉は何処の高校受けるつもり?」


「ん?東高」


東高校ってたしかサッカー強いよね


まあ、部活動に熱を上げている清流高校


「清流行かないの?」


「なんで清流なんだよ?だってあそこ、つまんねーって先輩が言ってた」


「ふーん...」


「梨佳は?どこ行くの?」


「あたし?あたしは青松だよ」


「反対方向だな」


青松は東方向だけど、東高は東のくせして南方向


だから絶対会わない


「そうだね」


「受験に受かったら一緒に飯、食いに行こうな」


「なんでー?面倒じゃん」


「いいから。絶対連れてってやる」


「はいはいー」


竜哉って1回言ったら聞かない性格だ