でも気付いたとこで何も変えられない


『...そっか。しちゃったならもう、変えられないね』


『怒らねえの?』


『怒ってももう手遅れじゃん。輝にはほかに好きな人居るんだし』


そう...


輝の好きな人は、あたしじゃない...


輝の愛しい人は...あたしじゃないんだ...


「泣けよ」


「え...?」


竜哉があたしを抱き締めた


って言っても竜哉の胸があたしの目の前にある


「このままほっといたら...いつか梨佳自身が崩れる」


あたしが崩れる...?


「無理して渡辺の前で笑ってんなよ。渡辺だって...気付いてんだよ」


亜衣が...?


「梨佳、気付いてるか?お前、笑えてねえよ」


「...ッ」


声にならない声で泣いた


「ヒック...」


「よしよし」


竜哉はあたしが泣き止むまでずっと背中をさすっていてくれた


落ち着いて、竜哉から離れる


「ん、大丈夫なのか?」


「うん...ありがとね?」


「おう」


あたしの頭を優しく撫でて微笑む


「竜哉、あたしをいつまでも子ども扱いしないでよ」


「ん?してねえけど?」