「梨佳...?」


あたしは少しの間、舜を見ていた


ダルそうに自分の席に座って教科書を机の中に入れている


時々大きな欠伸をしながら


...カッコいい...


あたしはきっと、まだ舜が好きなのだろう


だけど、告白なんて絶対無理


だって舜は覚えてないだろうし


付き合ってた頃のことなんて...


「梨佳ー?」


怪訝そうにあたしの顔を覗き込む


ハッと我に返った


「え?どうしたの?」


「ううん、なんでもないよ」


いつの間にか舜は机に伏せて寝てしまっていた


「じゃあ教室行って数学教えてー」


「...宿題、やってないのね?」


「...テヘッ☆」


テヘッ☆、じゃないよ...


まったく...この子は...


クラスではあたしと亜衣は姉妹と言われていた


お姉ちゃん?


そりゃもちろんあたしでしょ


どう見ても亜衣はお姉ちゃんなわけない


何かあったら絶対あたしに泣きついてくる


そんな亜衣をほっとけないあたし


あたし、お姉ちゃんというよりお母さん...?