バッ


慌てて引き離す後ろの男


「やっぱり!!竜哉!!」


案の定、竜哉でした


「俺じゃいけなかったかー?」


「くっつくな、お前は!!」


「ははっ」


竜哉は笑ってどっかへ行ってしまった


「なんだ、アイツ...」


「梨佳と太田君て異常に仲いいね?」


亜衣が聞いてくる


太田君とは、竜哉の名字


「竜哉?あぁ、うん。幼稚園からずっと仲いいからね」


「...付き合ってるの?」


「全然!!!付き合うなんて感情、一切持ってないよ!!」


「本当にぃ?」


亜衣が信用なさげに聞いてくる


「当たり前じゃん!!」


アイツを好きと思ったことは1回もない


竜哉もそうやって言ってた


『俺らって普通に仲いいし付き合ってんのかってよく聞かれるけど、お互いそんな感情一切ねえよな』


って笑いながら


あの笑顔に、無邪気な笑顔に、


あたしは何度救われただろう


あたしは何度感謝しただろう


そして、何度あの笑顔で導かれただろう――


計り知れない力を、竜哉は持ってる