今でも愛しい人



「亜衣~?」


ついにあたし達ははぐれてしまった...


亜衣がタッタッタと走って行ってしまうから...


亜衣はまだ携帯を持っていない


パソコンのメールであたし達は連絡を取り合っていた


だから迷子になったときの対処なんて決めていなかった


どうしよう...


あたしだけが携帯持ってたって意味ないし...


「梨佳じゃん!!何してんの?」


ふいに後ろからまた声を掛けられた


振り返ったら竜哉


「竜哉...亜衣見なかった?」


「渡辺?見てねえけど...」


「そっか...」


何処行っちゃったんだろう?


「何、迷子ったのか?」


「うんー。亜衣がちょこまかと動くから...」


「俺も一緒に探してやろうか?」


「えっ、でも...」


「他の連中とは俺、別行動しててさ。別に俺、好きな奴とか彼女居ないから」


「でも...いいの...?」


「あぁ。俺はな。梨佳は彼氏、居んだろ?」


「ッ...」


なんで知ってんのよ、コイツ...


「梨佳の表情見てれば分かるって。恋してるってことぐれぇ」


竜哉があたしの腕を掴んで歩き出す