今でも愛しい人



「梨佳は何してんの?」


「アレのお世話係」


アレ、とは亜衣のこと


クレープ片手に興奮してる


「えっと...渡辺亜衣、だっけ?」


「そうそう」


人の名前覚えるのは苦手なくせして亜衣のことは知ってるんだ


「お前の連れなら誰だって知ってる」


「あいたっ」


竜哉にデコピンをされる


あたし達は小さい頃からいつも一緒だった


幼稚園の時からずっと隣には竜哉が居て、手を握ってくれてた


小学校に上がっても変わらなかった


手を握ることはなくなったけど、隣に居てくれたのは確かだった


いつだったか、あたしがいじめられそうになったとき


慌ててあたしを助けてくれたのは


あたしが泣いてると必ず竜哉が駆け寄ってくれた


だけどお互い、好きとは思わない


まあ相談はいろいろし合ったけど


「竜哉ー、行くぞー」


「分かったー」


竜哉の友達が呼んだ


「じゃあ俺、行くわ」


「あ、うん。じゃあまた学校ね」


「あぁ。...なんかあったら俺に言えよ?」


「え?」


あたしの頭を一撫でして、友達の集団に駆けて行った竜哉


...竜哉にはやっぱ、隠せないもんだね