即席のパスワード




   ◇  ◆  ◇



俺は馬鹿だ。いや、馬鹿と言っても頭がとかいう意味ではなく。

仁奈に対するさっきの電話での態度の話である。



自分でも思う、何だアレと。自分自身誘いを断られたくらいでなんであんなに苛々したのかは分からない。


無性に腹立って。仁奈が俺の誘いを断るわけないって思いもあって。



電話が繋がって俺が誘った瞬間の、電話越しにでも分かる嬉しそうな仁奈の声を聞いた後だったから余計ムカついて。




「………俺を、」

優先してくれるもんだとばかり思ってた。


だって仁奈は俺のことを好きだと自覚してるし、俺だって彼女を手放す気はない。




……心、狭いな俺。


謝るにもちんけな俺のプライドみたいなものが邪魔をして、再度彼女へ電話する事が出来ない。


仁奈の不安がっている顔が頭に浮かぶけど、仁奈だって理不尽な俺の態度に怒っているだろう。





「……あーあ。」


取り敢えず、もう少ししたらメール入れとこうかな。