大学でのお昼休み。
私は構内ではなく気分的に外にあるベンチに腰かけ、サンドイッチにかじりつきながら空を見上げていた。
綺麗な水色の絵の具に白い絵の具でまっすぐな線を引いたように出来たヒコーキ雲。
と。
21にもなってそれを見てはしゃぐ私に隣からは、平和だって言わんばかりの呆れた笑みが向けられている。
「もう少し大人らしくしようよ仁奈。」
「でもあれ綺麗じゃない?」
「見飽きた。」
「…。」
そんな子供の心を忘れた発言をするのは、友人の梓(あずさ)。黒髪で艶やかなロングヘアはいつ見ても羨ましい。
隣に座る梓はブラックの缶コーヒーをぐっと喉に流し込むと、私に顔を向ける。
「相原とは仲良くやってんの?」
相原、とは泉くんの名字。梓と泉くんは元高校の同級生。
私と梓は、小中と同級生で高校はさすがに離れたけど、勿論連絡は取り合ってたし彼女は親友とも呼べる存在だ。