仁奈、と私の名を呼ぶ声が聞こえゆっくりと机に伏せていた顔を上げる。

私の名を呼んだのは泉くん。



「…これ、辛い。」


泉くんが指さした先にあるのはお皿に盛られた私作、お昼ご飯の炒飯なのだけど。




「え、え、本当…!?」

「うん。」


塩とコショウかけすぎたかな、おろおろと泉くんの顔を覗き込めば。彼は嘲笑的な微笑を口の端に浮かばせ。



「炒飯くらいまともに作れるようになりなよ。」

「(いきなり辛辣…!)」

「喉がイタイ。」

「…ごめんなさい…、」

「ほんとだから。」



鼻で笑う泉くんの口から饒舌に紡ぎ出されるのは、意地悪を通り越して(最早苛めに近い)罵る言葉。

確かに、味付け間違えたかもしれないけど!そんなに言わなくてもいいじゃんか!



私だって一生懸命作ってるもん。泉くんに美味しいって言ってもらえるようにこの前は図書館に行って料理の本借りて勉強したし…。

そりゃ、自分でも上手いなんて言えないけど。