「ふーん…。」
泉くんは終始つまらなさそうな声色を出す。もう、そんなんなら聞かないでって、泉くんはどうしたのなんて聞いてないか。私がベラベラ喋っただけ。
「嬉しい?」
と。
そんな変な質問をしてきた泉くん。おかしいななんて思いながらもうんと大きく頷きはにかむと、今度は優しく笑ってくれた。
その笑顔を見ただけで胸がぽかぽかする。
「仁奈、」
「ん?なに?」
泉くんの呼びかけで顔を上げると、彼は手出してと少し照れ臭そうに囁いた。
小首を傾げながらも、手を出せば。泉くんは着ていた黒色のセーターのポケットから細長い長方形の箱を取り出し私の手の上に置く。
そして、甘く囁いた。
「誕生日、おめでとう。」
「…ぇ、」
「三上に先越された。」