触れた唇は熱く、すごく優しい。
泉くんが好きって気持ちが溢れ出してそれを現すように泉くんの背中に腕を回す。
「俺が好きなら、俺の言葉だけ信じて。」
離れた唇の熱がまだ残っている。ぼーっとしている頭を覚醒させるように泉くんは額を弾く。
「返事は?」
「…はい、」
「よろしい。」
地味にでこぴんされた額が痛いけど、それも泉くんの優しく微笑む笑顔で消えてしまう。
私は、なにがあっても。例えどんなに泣いたとしてもこの人を諦めるなんてことはできないんだろう。
「仁奈はもう少し、俺を頼るってこと覚えてよ普段から。」
「…ごめんなさい。」
「うん。でも、俺が植村先輩を好きとかってアレはショックだったな。」
「嘗めないでよ。」
泉くんは、にっと悪戯に口角を引き上げるとそっと私の耳元へ自分の口を寄せる。
そして、耳打ち――――――…
「仁奈、好きだよ。」