即席のパスワード




そこが、そもそもの間違いだったんだ。


「……なんて、」

「それは相原と仁奈の問題。あんたがカバーしなくちゃいけないのよ、あの先輩のことも。」

「…ああ。」

「私、今日仁奈の部屋行かないから。相原が行ってくれるでしょ?」



三上はそこまで言うと、最後に一言。仁奈を泣かせないでと言い残し立ち去った。



……結局は俺があいつを怒っていい理由なんてなかった。先輩のことも、全部俺のせいなんだから。

三上の、仁奈への過保護すぎる愛情を感じて。なぜだか頬が緩んだ。





俺の愛しい子は、泣き虫だから…早くその涙を拭ってあげないと。

三上に殴られた後頭部や胸板の痛みなんて、仁奈の傷付いた心の痛みに比べればこれっぽっちも痛くない。


俺、仁奈をどれだけ泣かせてるんだろうか…。




携帯を開いて、待ち受け画面。これは誰も知らない秘密だけど……

幸せそうな寝顔を浮かべる仁奈がいるのを、教えたら彼女は笑ってくれるだろうか。


それくらい、俺にも仁奈しかいないんだ。