“仁奈、どうしたの?”
電話口から聞こえる優しい親友の声に、また泣きそうになってしまう朝。
ちょっとお腹痛くて、と口から出たのはまったくの嘘。
本当は元気だし大学に行かなきゃいけないということは分かっているけど、…今日はどうしても動く気になれない。
“あんたは、体調崩しやすいんだから…無理しちゃダメだよ?”
「うん…。ごめんね梓、ありがとう。」
と。
私の言葉に次ぐ、梓の声が聞こえてこないからあれ?と思うが。私も暫く黙って梓の声を待つ。
数秒の沈黙後、ねえ仁奈と声のトーンを少し落とした声が聞こえ返答を返す。
“何があったの?”
……梓の言葉は可笑しい。普通、何かあったのって聞くんじゃない?
何があったの?なんて、もう断定的じゃないか。
「…何もないよー。」
“嘘。仁奈、嘘つくの下手なんだから簡単に見抜けるのよ。”
「…。」
“無理には、聞かないけど。てか大体予想はついてるけどね…。”