びしびしとした泉くんの言葉に、心が重傷の傷を負っていく。


じわっと目頭に何か熱いものがこみ上げてきて、鼻につーんとした痺れが走る。一文字に結んだ口が震えて、自分が泣きそうなのが分かった。


…意地悪すぎる。私、泉くんの彼女のはずなのに。確かに全然勉強できないし、高校の授業で数学は殆ど寝てたけど!確かに彼女のはずなのに…。



ソファに座る泉くんに背中を向け、俯く。

泉くんの言葉で泣いてるとこなんか、絶対に見られたくない。また酷いこと言われるに決まってるもん。



「仁奈(にな)。」



ぐっと唇を噛みしめて涙を我慢する私の耳に届いたのは、私の大好きな綺麗な声が静かな部屋の空気に私の名前を刻んだ音。

響がいつもより優しくて、背中から感じた視線に胸が跳ねた。



「泣いてるの?」

「…泣いて、ない。」

「嘘つき。」

「、嘘じゃな…」



ギシリ、ソファが軋む音がしてからすぐフローリングを踏みしめる足音。