ドクン。
胸が鈍い心音をさせながら跳ねた。
譲ってくれる…?
それは、いい。泉くんが本が好きなことは分かってる。少し高揚していることが伺えるから嬉しいんだろうなって、思う。
けど……
「……会うの?…植村さんと、」
「…仁奈?」
ドクン。ドクン。
胸が、痛い痛いイタイ。感じていた焦燥感は大きなものへと変わる。
どうかしたの?と私の顔を覗き込む泉くんを見つめ、喉にかかる声を絞り出す。
「…泉くん、植村さんとどういう関係…?」
何を言っているんだ、私は。
少しばかり泉くんの眉が寄った。怪訝そうな瞳が私の胸にまた、鈍い痛みを走らせる。
「この前、仁奈会ったでしょ。高校の時の先輩後輩だよ。」
「むこうはそう思ってないかもしれない…。」
「…仁奈、いきなりどうしたの?」
そっと、私の髪に細い指を通す泉くんを見てるとなんだか目頭が熱くなった。
余計なこと、言わなくていいのに。


