会ったばかりの人が、私の何を知っているんだと思うけど。
…言い返せない。理由なんて簡単、図星を指されているから、…だ。
泉くんはすごく頭が良くて、顔も綺麗で、完璧な人。でも、私だけしか知らない意地悪な顔もあって…。とっても魅力的な人なんだ。
それと比べて、私は…。頭も良くなんてないしこの先輩や梓みたいに綺麗でも、スタイルが良いわけでもない。
取り柄なんて、思い付かない。
「…私相原くんのこと本気だからね。」
「っ…!」
貴方のこと認めないし、認める気もない、と。真っ直ぐに私を睨み言い放った植村さんの声は、言葉は、私の胸へ深く突き刺さる。
胸が、痛い。苦しい。
と。
「すみません。」
電話を済ませた泉くんが、私達の傍へ歩み寄る。
「全然。気にしないで。」
植村さんは冷たい顔を一瞬にして柔和なそれに変え、泉くんへ振り向く。そのまま、3人で帰路を辿る。
そして冒頭に戻る。