「不用心だね?不審者でも入ってきたらどうするの?追い払える?無理だよね?」

「…仰る通りで。」

「もし入って来てるのが俺じゃなくて、悪い奴だったら?仁奈タダで済まないよ?」

「…仰る通りで。」

「聞く気あるわけ?」



全力であります…!
そして心の底から全力でごめんなさい!!

泉くんの頭に二本、角らしきものが見えるのはきっと気のせい。だって泉くんは人間だもの。



はあ、と。深い溜め息を吐き出した泉くんは、大きくて綺麗な指を私の頬に這わす。



「もうちょっと気を付けてよ。あと、ゼリーとかでもいいから何か食べて。」


「俺は仁奈が心配なんだよ」、そう囁き泉くんはゆっくり腰を曲げ、私の額に口付けを落とす。

ごめんなさいと謝った私に、泉くんは柔和な笑みを浮かべ頷いてくれた。




「まあ、せめてもの…ベッドで寝なよ。」


呆れ顔の泉くんに、苦笑いしか返せない。そう、私が今寝ているのはマットの上。