即席のパスワード




あれ?なんで泉くんがここにいるの?どうやって部屋に入ったんだろう?

は!もしかして、秘密の通路的なものがあったりして…。


「仁奈、馬鹿な考えはやめてね。有り得ないから。」

「…エスパーだね。」



馬鹿考えてる顔だったから、と泉くん。ハッキリ言い過ぎだと思うんだけどな…。

ほんの遊び心なのに、泉くんの意地悪。


「部屋の鍵開いてたんだけど?」

「えっ!…あ、配達員が来たとき閉め忘れたんだ…」

「やっぱ馬鹿。本当、馬鹿すぎる。」


……馬鹿を連発されるとさすがに、すべてに自信が持てなくなってきた。私の心、頑張れ。




泉くんは、転ぶ私の横に胡座をかいて座る。その顔をまじまじと見て、ようやく気付いた。



「(お怒りだ…!)」

それも結構、やばいと思われる。口元は笑っているけど瞳が全然笑っていないのだ。


どうしよう、どうしようなんて焦り始める私を睨むように見下ろす泉くんは、ゆっくり言の葉を紡ぐ。