「もしもし。」

“あんたは天敵!ほんっとウザイ。”

「電話口で叫ぶな三上。」

“チッ!”

「(舌打ち…。)」

“…店、飛び出して行ったわ。惚れちゃったみたいよ、なんであんたみたいな奴。”


…失礼な女だ。そのまま携帯を耳に押しつける。


“あんたが仁奈に一目惚れしたから協力しろ、なんて。大学で会ったのは偶然だけどね。”

「ああ。お前がはぐれてくれたお蔭できっかけ作れた。」

“仁奈傷つけたら、承知しないから。”

「世話好きな女だなお前は。」


ふん、と鼻で笑うと、電話の向こうで三上がまた舌打ちをした。

電話を切る直前、礼を告げれば今度は俺が盛大に鼻で笑われた。犬猿の仲、の俺と三上。



「っ、相原くん…!」


耳に届く、柔らかい声。……ああ、来た。



゙This is only my secre     t.゙

 これは僕だけの秘密。



実は彼の方が彼女を振り向かせたくて、なんやかんやの話。

「秘密」そう言えば、彼女は少しいじけてしまった。可愛い彼女が、大好きなんです。