「だからそこ違う。」

「え、でも…」

「でもとかないから。」

「だって…」

「だってでもない。ほんと馬鹿。」



…貴方は、本当に意地悪ですね。

また溜め息を深く吐き出したのは、頭よし顔よしの我が彼氏様こと泉(いずみ)くん。彼は本当にド級の意地悪。


だって今だって、私彼女のはずなのに゙馬鹿゙連発されたあげく、溜め息何回吐かれた?さっきから哀れむようなあの顔も迫害だよ迫害!



取りあえず、泣きそうになるのを堪えながらひたすらに数式を解く。


そうしていれば、あら不思議。

泉くんの教えてくれていた呪文のような方程式がなんとなく分かりはじめたのだ。



「い、泉くん泉くん…!」



初めて自分もスッキリとする答えを導き出せ、嬉しさのあまりソファに座る泉くんを見上げる。


何やら単行本を読んでいたらしい泉くんは、私の指差す数式に目をやり視線を泳がす。



「…うん。」

「(…え、それだけ?)」