「…ダメだって、」
「お願い。」
「…、」
私は、背の高い泉くんの顔を上目になりながら一生懸命に見つめる。
泉くんと私は数秒、無言で視線を絡ませながら見つめ合う。
と。
はあー、と深く溜め息を吐き出しその視線を先に逸らし折れたのは、以外にも泉くんだ。
「何でそんなに見たいの?」
最後の抵抗、とばかりに横目で私を見下ろしながら、質問をぶつけてくる泉くんに私は迷うことなく言い切る。
「好きだから、だよ。」
私がニカっとはにかみながらそう告げれば、泉くんはまた溜め息。
そして。
「今日はもう無理だから明日持って行くよ。」
「そのかわり、仁奈のも見せてね。」
゙The wish is heard in rare cases.゙
たまにはお願いを聞いて あげる。
(翌日、お互いの卒アルを見ながら)
『私の見たかったの?』
『さぁね。』
『…どうして?』
『好きだから、でしょ?』
今の泉くんを知れれば、それでいいや。