うん。いきなりだ。
ついさっきまで話していた会話とか無視で実にいきなりだ。
「は?卒アル?」
当たり前に怪訝な瞳を私に向ける泉くん。
「卒業アルバムだよ。」
「それくらい分かるから。」
泉くんの声色に少し苛立ちが感じられる。何してるんだ私…!
お願いする前から泉くんを怒らせてどうするっ!アルバム拝見までの道のりがさらに遠くなった気がした。
「なんで卒アル?」
「あのね、見たい。」
「答えになってないから。」
すぐにOKを出してくれるなんて、そんな楽なことは考えてはいなかったけど。今の泉くんを見る限りなかなか手強い試合になりそうだ…、
「泉くん、お願い。」
「…面白くないからダメ。」
そうボソリと呟くと、立ち止まっていた足を再び前に踏み出しすたすたと歩き始める泉くん。
待ってよ、と。急いで駆け寄り掴んだ泉くんの白いシャツの裾。ゆるりとした動作で私を再度見下ろした泉くんの瞳は完璧に呆れている。