ノリノリで、ナイスフィーリングボケをカマすラムラムとチークンの後頭部に、シックス君はもう一発ずつハイブロウ鉄拳制裁ツッコミをぶち込んで、また二人を引きずりつつ歩いていきます。


「……シックス?」
 シックス君が全くボケに対して言葉を返さないのを見て取ったチークンは、心配そうにシックス君の顔を見ました。


 シックス君は頭に、青いリン族のラッキーカラー青系ブリーフ(男物)を被らされた上に、股間にはピンク下着(チークン推奨)、胸には情熱の赤いブラ(天使系ダマシブラ←ラムラム推奨)というハズカシイを通り越して悲しい格好なのですが、今のシックス君にはそれに恥ずかしがっている余裕はありません。


 考えが纏まれば纏まるほど、プー姫の状況は悪くなっていく気がしました。


 愛に生きる事ができないのは、何もこの下着郡の問題だけでもありません。
 何しろシックス君は赤いゴブ族の王子様、次期国王なのです。
 この無茶苦茶な冒険自体もそうですが、実際は王宮で適切な指示を出し、そして領土を取り戻すことを最優先するべきはず。


 ですが、シックス君にはそれが我慢できませんでした。
 確かに、チークンやラムラムと、無茶を繰り返してきました。それは全て、「自分が王様になった時に役立つ」と確信していたから。


 状況に対して冷静な判断が下せない、つまり、引き出しの数が少ない王様は、ただの飾りです。そんな王様にはなりたくなかったのです。


 そして、プー姫をさらわれて、それでも黙って王宮で指示を出しているような王子様なら、リン王が「統一国王に」などと考えるはずがありません。危険を顧みない、ある種の覚悟が、シックス君にはあるのです。
 真剣な視線のシックス君は、そんなゴブらしくない事を考えて……。