「音輝、良かったね。林さん、来てくれたわよ…」 耳を疑った。 音輝の母親は、額を撫でながら呟いた。 「お母さんが何も知らないと思ってた?馬鹿ね、何年あんたの母親してきたと思ってるの。あんたの心が誰にあるかなんて、ずっと昔から知ってたのよ…」 会場が静まり返る。 司会の人すら、言葉を失っている。 「音輝、さよなら言いなさい?」 母親は俺の目を見て、深々と頭を下げて泣き崩れた。