説明もそこそこに、龍太郎はアリスカの頼みで学園へと向かう。

朝ご飯くらい奢ってあげるから、というアリスカの提案で手を打ったのだ。

どうせコンビニのおにぎりかパンだろうが、この際それはどうでもいい。

大欠伸をしながら学園の校門を潜ると。

「あ、龍太郎こっちこっち!」

大きな鞄を抱えたアリスカが手を振った。

彼女のそばには、背の低い眼鏡男子。

(相変わらず一緒に行動してんだな…)

寝惚けた頭のままそんな事を思う。

「あれー?丹下君だ。1年生なのに何でこんな早くから?」

アリスカのそばにもう一人立っていた。

短めの黒髪、身長は平均的。

やたらニコニコ笑っている女子生徒。

幸多 千歳(こうだ ちとせ)。

万里の双子の妹である。