「もしもし…?」

寝起き丸出しの声で電話に出る龍太郎。

「何だよアリスカぁ…俺まだ寝てたんだぜぇ…?」

『ごめんごめん、悪いとは思ったんだけど、小夜ちゃんは実家からの通学だから遠いし、頼めるのは龍太郎しかいなくてさぁ』

アリスカの声が聞こえた。

『ちょっとお願いがあるんだけど。今から学園に来れる?』

「はぁ?」

チラリと部屋の時計を見る龍太郎。

まだ午前5時になったばかりだ。

登校時間には早すぎる。

「何でこんな時間から行かなきゃならねぇんだ…俺ぁ部活なんてやってねぇから朝練だってねぇぜ?」

『それがさぁ…』

困ったようなアリスカの声。

『二人ほど困った子がいてさ…』